デジタルが普及する現在においても、領収書や納品書など多くの場面で複写伝票を使用する企業は多いです。しかし、どのような仕組みで文字が写るのかわからない方もいるでしょう。今回は、複写伝票の仕組みや種類、用紙の選び方について解説します。

複写伝票とは

複写伝票は、一枚目に記入した内容が二枚目の紙に複写される伝票を指します。同じ内容の伝票を一度に複数枚作成できるので、担当者の業務負担が減り、業務効率化の実現を目指すことが可能です。

複写伝票は下に写る特性を活かして、領収書や納品書、配送伝票など幅広く使用されています。伝票は、商品やサービスを購入したり販売したりする際に発生するのが基本です。複数の関係者が関わる場面において、同じ内容の記載を共有できます。

複写伝票の複写方法

複写伝票の複写方法は、以下の2種類があります。

  • ノーカーボン用紙
  • カーボン印刷

それぞれの特徴が異なるため、業務内容に合わせて複写伝票の複写方法を選ぶことが大切です。

ノーカーボン用紙

ノーカーボン用紙は、複写伝票の一般的な複写方法です。上用紙・中用紙・下用紙の3種類で作られています。一番上の上用紙は、直接ボールペンで書き込む紙で記入者が保管するものです。中間にある中用紙は、発色剤と顕色剤が付着しており、下用紙に転記する役割があります。

一番下にある下用紙は相手に渡すためのものです。転記した紙を相手に渡すことで、改ざん防止の効果があります。ノーカーボン用紙の性質上、長時間直射日光に当たると発色剤が薄まり、複写した文字が消える可能性があります。長期保管する場合は、ノーカーボン用紙の利用はおすすめできません。

カーボン印刷

カーボン印刷は、事前にカーボンインキを印刷したカーボン紙の裏面に筆圧で複写する方法です。ノーカーボン用紙に比べると濃く写るため、筆圧が薄くて見えないといった問題が起きづらいです。

また劣化しにくいので、耐久面においてもノーカーボン用紙に勝ります。しかし、カーボン印刷はノーカーボン用紙に比べて複写伝票より費用が高いです。カーボン印刷を使い続けると、ランニングコストがかかる可能性があります。

複写伝票の仕組み

多くの場面で使われる複写伝票ですが、どのような仕組みで複数枚に転記できるのかわからない方も多いはずです。なぜ一番上に書いた文字が下に写るのか、複写伝票の仕組みを確認していきましょう。

発色剤が使用されている

ノーカーボン用紙の複写伝票は、一番上の紙に文字を書くと同じ内容の伝票を複数枚作成できます。なぜ一番上に書いた文字が下に写るのかというと、発色剤が使われているためです。ノーカーボン用紙は上用紙・中用紙・下用紙で構成されていますが、一番上と真ん中の紙の裏に発色剤が塗布されています。

発色剤は「マイクロカプセル」と呼ばれており、カプセル状であるのが特徴です。ボールペンなどの圧力が加わるとカプセルが割れて下の紙に塗布され、顕色剤に反応して発色します。圧力で割れるカプセルですが、通常の圧力では壊れません。基本的に、筆圧や印字圧にのみ反応します。

複写されない部分がある

複写伝票は、一番上の紙に文字を書くと下の紙に文字が写ります。しかし、複写伝票に文字を書いても複写されない部分があります。複写伝票に複写されない部分があるのは、減感(げんかん)印刷と呼ばれる技術が使用されているためです。

減感印刷で使われる減感インクは無色で、一部だけ複写できない状態にできます。減感インクを使うことにより、三枚目の紙にだけ渡す相手に知られたくない項目を複写できないようになります。主に、納品書の複写伝票で用いられることが多いです。

複写伝票が選ばれる理由

複写伝票は、領収書や納品書などさまざまな場面で使われています。複写伝票が選ばれる理由には、次のようなものが挙げられます。

  • 記載する手間を省ける
  • 事実確認をおこなえる
  • 記載した証拠を残せる

記載する手間を省ける

複写伝票は一番上の紙に文字を記載すれば、下の紙にも同じ内容が写ります。同じ内容の伝票が複数枚作成できるので、担当者が記載する手間を省けるメリットがあります。とくに近年は人材不足に陥る企業も多いので、業務効率を上げられるのは利点です。

また、人の手で複数の伝票を作成すると人為的なミスが起こりがちです。複写伝票は一番上の紙さえ間違えないように記載すれば、人為的なミスを大幅に減らせます。伝票を再度書き直す手間も省け、担当者の業務負担も軽くなるはずです。

事実確認をおこなえる

複写伝票を作成すれば、事実確認をおこなえるメリットがあります。とくに複数の関係者が関わる業務をおこなう場合、トラブルが起きたときに言った言わない問題が発生することも多いです。

それぞれが同じ内容の伝票を保管しておけば、ミスを発見できたり不正を防止できたりします。自社の担当者を守るためにも複写伝票があると便利です。

記載した証拠を残せる

複写伝票を作成すれば、記載した証拠を残せるメリットもあります。たとえば、飲食店の場合はお客様からの注文を取るときに複写伝票が活躍します。

ただホールスタッフから厨房に注文を伝えるとき、うまく引き継ぎできない場合があります。注文の聞き間違いなのか、作り間違えなのか確認可能です。責任の所在を明確にできるのは、複写伝票を使用するメリットです。

複写伝票の用紙の選び方

複写伝票といってもさまざまな用紙の種類があります。用途に応じて複写伝票を選ばないと、使いづらさを感じることも多いです。複写伝票の用紙の選び方には、次のようなものが挙げられます。

  • 用紙の厚さで選ぶ
  • 白色の用紙が一般的
  • 用途に応じて発色を選ぶ

用紙の厚さで選ぶ

複写伝票は、上用紙・中用紙・下用紙の3種類の紙で構成されるノーカーボン用紙があります。納品書で使用するときは、3枚のノーカーボン用紙が同じ厚さの伝票を選ぶのがおすすめです。

領収書は、下用紙のみ厚い用紙のものが適しています。複写したい用紙の枚数が多い場合は、中用紙に薄い紙を使用した複写伝票を選ぶと使いやすいです。

白色の用紙が一般的

複写伝票の用紙は、さまざまな色で展開されています。どのような色を選んでも問題ありませんが、白色の用紙を選ぶ企業が多いです。白以外にも、ピンク色やクリーム色などさまざまな複写伝票の用紙の色があります。

取引先や業務内容に応じて複写伝票を分けたい場合は、それぞれ異なる色の用紙を選ぶのが良いかもしれません。色で区別できるので、保管するのが容易になります。

用途に応じて発色を選ぶ

複写伝票の発色で多く用いられるのは、青色です。宅急便で使われる発送伝票の色も青色なので、普段から馴染みのある色かもしれません。

しかし、複写伝票の発色はブルー以外にも黒色があるため、用途に合わせて選ぶのがおすすめです。発色の違いに大きな意味はないので、基本的に好きなものを選んで問題ありません。

用途に応じて複写伝票を選ぼう!

領収書や納品書など、さまざまな場面で複写伝票が使用されています。一般的な複写方法であるノーカーボン用紙は発色剤が使われ、上用紙に圧力が加わると二枚目と三枚目に複写される仕組みです。複写伝票といってもさまざまな種類があり、選び方を間違えると使いづらいと感じる場合もあります。

用紙の厚さや色、文字の発色など、用途に応じて複写伝票を選ぶことがおすすめです。らくらく伝票印刷は、伝票印刷・伝票作成を行えるサービスを提供しています。伝票作成の課題を抱えているなら、利用を検討してみてはいかがでしょうか。